日本よりも自由度が高い制度の事例が見られます
日本国内での福利厚生はどちらかと言うと保守的な制度が多く、会社や仕事を第一に考える制度が多いという傾向があるのに対し、海外ではこの根本が違い、個人の利益が第一に考えられており、またそれに伴って福利厚生もオリジナリティの高い制度が多いのが特徴です。
海外の福利厚生の事例としては、まずはフレックスタイム制度がよく取り入れられており、これは日本とは大きく異なる部分でもあります。
規定された時間分を働けば、勤労時間については小言を言われず、個人のライフスタイルに合わせて自由に働くことが可能になっています。
ただし、その分実力主義によって成り立っており、プライベートな時間に注力するあまりに仕事に影響が出たら給料が減らされてしまう可能性も高いのも特徴と言えます。
この他にも福利厚生を通すことによって仕事に対して自由度を増させるのが海外流で、仕事とプライベートを両立させ、どちらも充実させるために自由に取れる休暇制度が整えられているのも特徴です。
海外の休暇制度は充実している傾向にあります
アメリカでは休暇制度に対する法律として「家族医療休暇法」が定められています。
この法律で定められているのは、従業員数50人以上の企業を対象として、従業員が一定の条件を満たしていれば12か月の期間中に最長で12週間まで休暇を取る権利が付与されることで、これによって多くの労働者が休日を確保できるようになっています。
女性の場合には出産や育児のために休暇を取らなければならないケースもありますし、また男性の場合でも家族の看護や介護のために休暇を取る必要があった際にも柔軟に対応できるようになっています。
これに加えて特別休暇制度も充実しており、休暇を取得する目的に応じて有給休暇とは別に特別休暇の権利も付与され、またこれを取得するのに際して取りづらい空気感も薄いのも海外の特徴となります。
仕事に対してはきっちりと成果をあげられていれば、いつどこで働くかという問題は考慮されにくいのが海外の特徴であり、日本国内の企業との大きな違いでもあります。
設備の充実で仕事の士気もアップします
海外の企業では社内の設備を中心に福利厚生を充実させ、社員が持つモチベーションを維持あるいはアップさせるという手法が多く用いられることになります。
具体的な事例としては社内がまるで自宅かのような施設になっており、会社にいるだけでも生活ができてしまうような、キッチンやダイニング、リビングなどが設けられていることもあります。
世界をリードするようなIT企業では、社内に宿泊施設が併設されていたり、この他にも社員食堂に出される食事は基本的に無料で食べることが可能だったり、料理を楽しめるキッチンスペースが設けられていたり、おしゃれなオフィスになっていたりなどなど、事例を挙げればきりがありません。
共通して言えることは、自然に仕事へのモチベーションをアップさせる設備が充実しているという点にあります。
やりたい仕事だからもともと社員の士気が高いのも特徴ではありますが、それに加えて会社の規則によって社員達を縛り上げるのではなく、容認して自由を与えることによって士気も更に高まり、より良いサービスを提供できるようになるというプラススパイラルが実現されていると言えます。
日本への浸透はまだ時間がかかりそうです
それでは、これらの福利厚生は日本国内で実現されているのでしょうか。
答えはノー、国内の企業でトップクラスの業績を誇る企業の中でもこれほどまでに自由度の高い福利厚生を実現できているのは数が限られており、ごく一部の企業だけが実現できているのが現実です。
日本国内では保守的な考え方が定着しており、徐々に変化がもたらされつつありますが、基本的には年功序列で、実力主義が通っていない部分が大きいのもその原因の1つに挙げられます。
変化しつつあると表現したのは、現在企業内での意識改革がされるようになってきているからで、ある程度実力主義も認められてきているからですが、多くの企業がいまだ年功序列の愛社精神を基本とした経営がなされています。
また子育てや介護に対する考え方が少しずつ変化してきているため、社会の流れとしては、今後は休暇も取りやすくなっていくことが予想されます。
しかしながら海外のように仕事は人生の内の一要素に過ぎず、どちらも両立させてこその幸福という考え方は日本に浸透するまでかなりの時間を要することになりそうです。
(まとめ)海外ではどのような福利厚生の事例があるの?
日本ではどちらかと言うと会社や仕事が第一に捉えられているのに対し、海外では多彩な福利厚生を通すことによって仕事とプライベートに自由度を加えているのが特徴となっています。
海外では福利厚生における休暇制度についても、労働者には法律によって明確に権利が与えられています。
また休暇取得に対する空気感についても、成果さえ出していれば取得しやすくなっています。
海外では社員のための設備投資も日本とは一味違い、日本のように仕事とプライベートをきっちり分けた上での福利厚生としているのではなく、会社にいたくなるような、働きたくなるような設備投資がなされています。
日本国内でも海外のような福利厚生が実現されるのはまだ先になりそうです。
資金力にも余裕がある大企業は少しずつ社員の働き方に対して自由度を与えるようになってきていますが、中小企業については保守的な考え方が固着しているのが現実です。