退職金は福利厚生の中でも最も重要なものの一つです
福利厚生は退職金のなかでも重要課題の一つといえるでしょう。
なぜなら、福利厚生による退職金が保証されていることによって、老後の生活への不安を抱くことなく働いてもらうことができ、その点で労働者、従業員の意欲を高めるものともいえるからです。
退職金の制度をどのように整えるかは雇い主の側にとっても重要な課題であり、当然雇用される労働者にとっても今後の生活を左右する大切なものとなりえます。
大企業であればともかく、中小企業にとっては退職金を安定させるのは簡単ではないことが多く、そのために経営者にとってリスクをなるべく追わずに退職金のために利益をプールする知恵や手段が求められます。
退職金のための貯蓄を切り崩すことなく経営を軌道に乗せるのは経営者の腕の見せ所といえるでしょう。
経営者を助ける制度を確認することが大切です
従業員の退職金の捻出は決して簡単なものではありません。
経営者は利益の中から退職金のための資金を貯蓄しておきたいと思うものですが、様々な税金の支払いや、急な出費などによって切り崩してしまうことにもなりかねないからです。
退職金が保証されていない状態では安心して長く働ける環境とはいいがたく、せっかく育った優秀な人材の流出や、将来への不安ゆえに仕事の効率やモチベーションが落ちてしまうなど、様々な悪影響が懸念されています。
資産運用などで利益を増やすこともリスクを伴い、安易な投資計画で余計に会社の財政を逼迫させてしまうこともあるでしょう。
そのため、よりリスクを抑え、なおかつ貯蓄する場合よりも税制面で優遇が期待できるような方法が理想といえるでしょう。
そのためには、中小企業退職金共済や福利厚生プランとしての養老保険、終身がん保険などを用いることもできます。
それぞれにはメリットもデメリットもあるため、自社の経済状態をよく分析したうえで利用を検討することが大切です。
中小企業退職金共済を利用しましょう
福利厚生における退職金の捻出において利用できる制度の一つが、中小企業退職金共済というものです。
この制度は、「独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部」つまり、中退共によって運営されている制度で、事業主が月々に支払う掛け金を基本に、国がその一部を助成する制度のことです。
基本的には全従業員の加入が原則となります。
掛け金は5000円から30000円までの間で16通りの中から選ぶことができます。
また、週に30時間に満たない労働時間のパートタイマーに関しては2000円から掛けることもできます。
この制度はほとんどの中小企業が加入することのできる制度となっています。
メリットとしては、当然国に掛け金を助成してもらえることが大きいでしょう。
そのうえ、地方自治体によっては独自の補助も行っているところも多く、地域によってはさらにお得な制度といえます。
また、退職者がいる場合、退職者は中退共に直接退職金を請求することになるため、そのタイミングで会社に赤字が出るというケースを防ぐことが可能です。
デメリットがあることも覚えておきましょう
中小企業退職金共済は非常に便利な制度ではありますが、デメリットも考えておかなければなりません。
大きなデメリットとして、掛け金が戻ってこないことが挙げられます。
例えば、加入後23か月以内に退職者が出た場合、その従業員にはほとんどの場合退職金は支給されませんが、かといってその分の掛け金が戻ってくるわけでもないため、取り戻すことは不可能です。
また、懲戒解雇などによってかなり退職金が減額されたとしても掛け金は戻らないのです。
そのため、状況によってはかえって損をしてしまうこともあり得ます。
このルールを嫌って、民間の法人保険を利用する企業も少なくありません。
その一つが福利厚生プランの付与された養老保険です。
養老保険とは、満期までに被保険者が死亡すれば死亡保険金が支払われ、死亡しなければ死亡保険金と同じ額の満期保険金が支払われる保険商品のことです。
この商品を利用して、満期の期間を退職する年に合わせておけば、死亡保険金を退職金として退職者に支給することができます。
また、保険期間満了前に従業員が死亡した場合、家族への見舞金としても利用できるのです。
ただし、民間保険の場合、掛け金もそれなりの額になってしまうため毎月の支払いが会社の経営を圧迫してしまうこともあるでしょう。
自社の規模と利益を考えて慎重に検討することをお勧めします。
(まとめ)福利厚生における退職金って?
福利厚生の中でも最重要ともいえるのが退職金です。
退職金が保証されていない状態では常に老後の生活に不安を覚えたまま働かなければならなくなります。
そのため経営者にとっては退職金の捻出が一つの手腕の見せ所となります。
従業員に対して退職金を保証するというのは、とりわけ中小企業にとっては簡単な話ではありません。
しかし、それを助ける制度や方法がありますのでそれらに精通することがよいでしょう。
経営者がぜひ知っておきたい制度の一つに中退共が運営する中小企業退職金共済があります。
この制度にはほとんどすべての中小企業が加入でき、退職金支給にともなう赤字などを防ぐことができます。
退職金の保証するために民間の保険商品を利用する企業もあります。
そのうちの一つが養老保険で、この保険商品の特徴を利用して退職金の代わりに死亡保険金を使うことができます。