もっとも一般的なのが正社員が必ず加入する社会保険です
福利厚生という言葉の意味は非常に広く、どこからが福利厚生に含まれるのか曖昧で、広義では正社員だけの特権ではなくパートやアルバイトといった非正規雇用の場合でも与えられることもあります。
正社員と非正規雇用の決定的な違いは各種社会保険(雇用保険や厚生年金、健康保険等)に加入できるかどうかという点にあります。
法律によって正社員として登用する場合には各種社会保険への加入が義務付けられているため、また賃金や給料に対して乗せられる非賃金報酬という意味で社会保険への加入が福利厚生の一部と考えられるため、最も一般的な福利厚生は社会保険と言えます。
保険や年金への加入は働く意欲云々という話ではなく、継続して安定的な生活を保障してくれるものとなるため、福利厚生とは捉えられない、むしろ正社員ならば当然のものだと考えられてしまいがちですが、立派な福利厚生なのです。
住宅手当や住まいに関する福利厚生も代表的なものです
社会保険は正社員ならば当然加入するとして、次に一般的な福利厚生として挙げられるのが住宅手当や独身寮の完備、社宅の完備といった住まいに関するサービスです。
大企業ともなれば住宅手当が支給されるのは当たり前で、この他にも格安で住まわしてもらえる独身寮制度や社宅制度が完備されていることが多く、これによって社員の生活の基礎を固めています。
マンションやアパートといった賃貸住宅を借りている際にその3分の1から半額程度を保障してくれる企業もあるほか、一戸建て住宅を建てた際にも住宅手当が支給されることもあり、また住宅購入に際して資金を融資してもらえる企業もあるなど、この福利厚生については質も手厚さも企業によって大きく異なることになります。
日本経済団体連合会の調査によれば、1カ月あたりに支給される福利厚生費の平均は2万5千円程度であり、その内最もウェイトを占めているのが住宅関連の項目で、1万2千円程度となっています。
このことからも住まいに関する福利厚生は、どの企業も力を入れているということが分かります。
住む場所を確保できなければ生活も何もなくなってしまいますので、当然と言えば当然かもしれません。
休暇制度の充実度も従業員にとって重要なものです
社会保険と住宅関連の福利厚生の次に一般的なのが休暇制度となります。
休暇を取っても給料は保障されることになる有給休暇を始め、特別休暇や産休、育児休暇といった子育てのために必要となる休暇、介護のための休暇などまで許可している企業もあります。
特に女性にとっては産前産後の休暇や育児休暇は結婚から出産までの多忙さを考えれば注目すべき点になります。
また男性の場合でも有給休暇の日数が多ければその分プライベートの時間を楽しむことができるわけですので、どの程度の有給休暇が付与されるのかについては注目すべきポイントとなります。
この他にも各種休暇制度は充実性を重視するのではなく、その消化率を重視するという考え方も登場しています。
有給休暇は「休んでも良い」とされる権利であって、必ずしもその全てが消化されるというわけではありません。
まして人と人の間で働くのが会社なわけですし、そこには人事的な評価も絡んでくるため、なかなか消化できない雰囲気が出来上がってしまっている企業もあり、そういった企業ならばいくら有給休暇が多く付与されたとしても無意味に等しいのではないかとも考えられています。
このように消化率は非常に重要となりますので、できれば求人に応募する前に調べておきたいところですね。
福利厚生の有無と生活の質は密接に関係しています
福利厚生には社会保険や住宅手当、休暇の他にも様々なものがあり、企業によってはユニークな福利厚生も用意されていることもありますので、求人票を見る際には仕事内容や給料に加えて必ずチェックしておくことをお勧めします。
さて、それではもしも福利厚生が無かった場合には生活の質にどの程度の影響が出ることになるのでしょうか。
前記の通り、1人あたりの福利厚生費は平均額の2万5千円であるとして、これに社会保険料の平均額である約8万円を加えた場合、その総額は10万円を超えることになります。
これは1カ月あたりの金額となるため、もしも全ての福利厚生が無かった場合には年間で100万円を超える差が発生することになります。
1年間で100万円もの差ができてしまえば、一生分を考慮すると数千万単位で変わることになり、生活の質にもかなりの差が出てきてしまうことが分かります。
(まとめ)一般的な福利厚生には何がある?
正社員を登用する際には、企業はその人を社会保険に加入させなければならないことが義務付けられていますので、最も一般的な福利厚生は各種社会保険の完備および提供と言えます。
福利厚生の内、企業が最も資金を投入しているのが住宅手当や寮、社宅制度といった住宅関連となります。
企業によっても支給される金額や提供されるサービスは大きく異なりますので注目しておきたいところですね。
休暇制度についても福利厚生と呼ぶことができます。
企業ごと、どの程度の日数の休暇が用意されているのか、どのような休暇制度があるのかに加えて、休暇の消化率、取得率についても知っておくと良いでしょう。
福利厚生によって正社員が受け取っている報酬は金額に換算すると1カ月あたり10万円程度となるため、有無によって生活の質にも多大な影響が出てきてしまうことが分かります。